犯罪について

 少年による刑法犯の検挙人員は減少を続けているにも関わらず、世間が少年非行に抱く関心は依然として高く、その多くが厳罰化感情を伴うものであると考えられる。そうした世論を受け少年法が2000年以降改正を重ねる中で、少年法の意義や少年院教育のあり方というものも度々議論されてきた。しかし一方で、非行少年への処遇、さらには少年の健全な育成において大きく貢献してきたと考えられる児童自立支援施設が議論の俎上に載せられることは少なく、その存在が広く認知すらされていない。

 では、もはや児童自立支援施設は、少年非行の抑止力になり得ないのかというと、もちろんそんなことはない。私は、少年矯正や更生保護の現場で活動するボランティアサークルであるBBS会での活動の中で、幾度か児童自立支援施設に訪問する機会を得た。そこで私が目にしたものは、少年院と比較して大変開放的な処遇環境や、並々でない職員の方々の情熱であった。よりスティグマを与えにくく、児童らがのびのびと過ごす事のできる環境と、朝から夜まで、児童ひとりひとりに真摯に向き合う職員の方々を見ていると、「なぜこれほどの施設が、十分に活用される事もなく、また広く認知すらされてい ないのだろうか」と疑問を持たずにはいられない。

 そこで本稿では、児童自立支援施設について、その働きや歴史などを概観した上で、少年非行の抑止力として今後ますます活用されるために必要なものを考えたい。具体的には、少年院仮退院者への保護観察に類似するものとしての児童自立支援施設退所者へのアフターケアに注目しながら、その課題と解決方法を模索する。その他、広域的な入所調整の是非や措置停止などについても検討しながら、児童自立支援施設の展望を示したい。さらに、そのようにますますの活用が期待される児童自立支援施設と少年院の住み分けについて、その可能性を論じる。

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